アーカイブの考察

 

災害時のアーカイブへの取り組み

 地震などの大規模災害では、多くの人命や建物に加え、文化財や資料、記録にも大きな被害をもたらします。被災による破損や、片付け時に廃棄されてしまうことが多いからです。
 熊本地震では、熊本市立熊本博物館により、文化財や歴史・民俗資料の保全について呼び掛けが行われており、また、「歴史資料ネットワーク」では、被災資料保全活動を行う「熊本被災史料レスキューネットワーク」(熊本史料ネット)が設立されました。
 現地における安全を確保しながらの資料保全支援活動が始まっています。

 また、非営利団体の「くまもと震災アーカイブ」による、インターネットでの写真収集のように、震災に関する記録を残す取り組みも行われています。
 震災や復興に関する資料は「震災資料」と呼ばれ、これまでに起こった震災に関する震災資料も数多く収集・公開されています。
 以前にご紹介した国立国会図書館東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」のようなデジタルコンテンツ収集の他に、阪神・淡路大震災の資料を収集・公開している「人と防災未来センター」、「震災文庫」(神戸大学附属図書館)などがあります。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に関するアーカイブ施設の設立も検討されているようです。

 「人と防災未来センター」では、『所蔵史料図録‐暮らしのなかの震災資料‐』を発刊しました。
 この図録には、センターが所蔵する震災資料の中のモノ資料が、写真と解説付きで紹介されています。見ていくと、震災発生時刻「5:46」で止まった時計、崩れた倉庫のレンガ、炊き出し用の大鍋や救援物資が入っていた箱など、様々な資料があり、被害の大きさや当時の生活の様子を今でも窺うことができます。

 被災資料の保全、震災資料の収集は共に、将来へ記録を残し、活用されることを目的としています。大変な状況の中、救援活動と併せてこのようなアーカイブ活動が行われていることも、心に留めていきたいと思います。

 
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