アーカイブの考察

 

インターパレス・プロジェクト(1)

2012年6月23日、京都大学で開催された国際セミナー「デジタル記録の信頼性確保に向けて―インターパレス・プロジェクトの成果―」に参加した。
これは学習院大学大学院アーカイブズ学専攻と京都大学文書館の共催になる講演会で、講師はカナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学教授のルチアナ・デュランチ博士。
インターパレス・プロジェクトとは、デジタル記録の長期保存・真正性保持に関する世界的な権威であるデュランチ博士がリーダーを務める国際的な研究プロジェクトである。

プロジェクトは、第3フェーズ(2007~2012)が今年3月に終了したが、講演はその成果を基にしたもの。ポイントは、やはりデジタル記録は脆弱なもの、不確実なものということである。
その前提で様々な対策を考え、これらの欠点を克服しようとしているのがこのプロジェクトなのである。
同博士はデジタル記録の信頼度を量る評価項目には次のものがあるという。

信頼性(Reliability):事実の記述としての記録の信頼度であり、作成者の能力、完成度、作成に対する統制力に基づく。

正確性(Accuracy):記録の内容の正確さ、精度の高さであり、さらには内容の記録方法と伝達に対する統制力に基づく。

真正性(Authenticity):記録が表示している通りの内容であり、改ざん・改変がされていないという信頼度であり、記録のコンテクスト、独自性、完全性、またその記録が存在する記録システムの信頼性に基づく。

完全性(Integrity):記録が主要な点すべてで完結しており、変更されていない品質のことである。

デジタル記録は、紙記録のようなアナログ記録と違い、物理的に直接、目で確認することができないだけに、その信頼性を確保するためには、色々な角度からチェックを行うが必要となるというわけだ。

社史・アーカイブ総合研究所 代表 小谷允志

 
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