今回はデジタル記録の信頼性を確保するための方策について述べてみましょう。
デュランチ博士は、データ改変から記録を守るには、許可やアクセス・コントロールもしくはハッシュ・アルゴリズムのような手法で防御できるが、最も必要なのはログだと言います。
ログとは行われた操作、サービスの実行、またはファイルに対するアクセスもしくは修正、これらをいつ、誰が、どこから行ったかを追跡し、自動的に記録する仕組みです。
さらに博士は、デジタル記録の信頼性を確保するためには、新しいアーキビストの役割が重要なことを強調しています。それにはまず、必要な知識とスキルを公式の教育を通じて身につけているアーキビストの存在が必要であり、アーキビストは信頼される記録の保管者としての役割を担い、自らを記録のライフサイクルの始めに位置付けることが重要だと言います。
そしてアーキビストは次のような役割を果たさねばならないと述べています。
*記録の真正性を評価し、その記録が存在する限り真正性を監視する。
*アーカイブズの技術的能力に基づき、保存の可能性を決定する。
*信頼される保存システムを確立する。
*記録作成時点から、保存すべき記録を明確にし、長期間にわたりその変化を監視する。
*記録の紛失、損壊または改変を防ぎ、発見し、あるいは是正する手順を確立する。
*メディア劣化の対策として定期的にコンバージョンやマイグレーションを実施する。
*アーカイブズの技術環境に基づいた保存戦略を決定する。
*知的財産権やプライバシーの問題に取り組む手順を開発する。
このようにデジタル記録の長期保存、信頼性確保には記録の専門職であるアーキビストもしくはレコードマネジャーの役割が非常に重要だと言っているわけです。
社史・アーカイブ総合研究所 代表 小谷允志
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