過去のある時点の土地の様子を一目瞭然で知ることができるのは古地図です。国立国会図書館地図室には、平成24年度時点で55万点もの地図が所蔵され、閲覧に供されています。また、地図を作成している国土地理院では、全国の過去のすべての地形図を、つくば市の本院と東京・九段の関東地方測量部で公開しています。見たい時代の、見たい土地の地図が、比較的簡単に見られるようになっています。
オリンピック開催が決定して、先の東京オリンピックが開催された1960年代の東京に注目が集まっていますが、当時の地図からは、この50年間に、都市の構造が如実に変化してきたことが見てとれます。まず目に飛び込むのは、路面電車(都電)が町中にいたるところで走っていたことです。そのネットワークは200キロにも及んでいました。現在、東京の地下鉄網が郊外部分も含めて300キロほどですので、それに代わる存在だったと言えるでしょう。高速道路はオリンピック開会の段階で40キロほどしか開業していませんでした。首都高も現在は300キロを超えています。都心部の主要な輸送手段が、高速大量高頻度輸送に変化したものと言えるでしょう。また、1960年代は都心部にも木造住宅が密集していました。現在、都心部は一様にオフィスビルやマンション群が林立していますが、地価の高騰が土地の高度利用を進めたものと言えるでしょう。
古い地図は見飽きないものですが、過去の地形や土地利用をみることで、近年の異常気象に対する災害対策等にも幅広く活用できるものであり、暮らしの上でなくてはならないアーカイブズと言うことができるでしょう。
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