アーカイブの考察

 

LIXIL資料館と印刷博物館

二つのユニークな企業ミュージアムを見る機会がありました。
それぞれが大変個性的で特色があり、感銘を受けましたので、ご紹介したいと思います。そのミュージアムとはLIXIL資料館と印刷博物館です。

まずLIXIL資料館ですが、こちらは2011年4月、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアという住宅関連企業5社が経営統合してできた新会社LIXILの企業ミュージアムです。
ライブラリーとミュージアムで構成されており、ミュージアム部分では、各社の商品を交えながら明治期から現在に至る住生活の変遷を見せる展示と各社の創業の精神・企業理念、技術革新の変遷を中心にブランドヒストリーを見せる展示からなっています。
つまり今まで独自の文化を築いてきた各社の歴史を一堂に集め、それぞれの歴史に学びながら、新しい未来を切り開いていこうという統合会社のコンセプトが明確に示されたミュージアムということができます。
予約制で一般にも公開していますが、新会社の社員が各社の歴史、文化、フィロソフィーを学び、相互理解と信頼を培う場だという位置づけが明確です。

一方、印刷博物館はトッパンが2000年に、同社の創業100周年の記念事業として開設した企業ミュージアムで、印刷の誕生から現代までの印刷の歴史を展示する非常にオーセンティックな本格派ミュージアムです。
現存する世界最古の印刷物といわれる百万塔陀羅尼やルターのドイツ語訳「新約聖書」、グーテンベルグの「42行聖書」原葉など重文級の貴重資料が数々展示されており壮観です。
トッパンのビルの中にあり、同社が運営しているのはわかるのですが、印刷博物館の表示、あるいはパンフレット等には一切「トッパン」の文字はありません。あえて企業PRの”におい”を消した、企業ミュージアムを超えた企業ミュージアムということができます。
また最近は印刷もコンピュータ化され、活字を組む印刷はなくなってきましたが、ここでは実際に活字を組む、昔ながらの活版印刷の体験コーナーがあり人気を博しています。

社史・アーカイブ総合研究所 代表 小谷允志

 
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