2019年3月29日、学校法人森友学園への国有地売却や財務省の関連文書改ざんなどを巡る問題に関して、大阪第一検察審査会は大阪地検特捜部が不起訴処分とした佐川宣寿元同省理財局長らを「不起訴不当」とする議決書を公表しました。
そもそも鑑定価格9億5600万の国有地を1億3400万で売却する、またこれに関する決裁文書を改ざんするなどということは常識では到底、考えられない行為であり、これが当初、法的に何のお咎めもなしとなった時には強い違和感を持ったものです。しかも本省から改ざんを強いられた現場の近畿財務局の職員が一人、自ら命を絶っていたのですからなおさらです。
今回の議決は、ごみの撤去費用として8億円も値引きしたのは、「元国有財産管理官が自己保身のため、学園側の希望価格に近づけるけるため値引きした」のだと指摘しています。また一方、安倍首相の妻昭恵氏らの名前が削除された決裁文書の改ざんに関しては、「社会的常識を逸脱し、原本が証明していた内容が変わってしまった」と厳しく非難しています。この議決がでた直後、醍醐聡東大名誉教授ら19人が大阪地検特捜部に起訴を求める申入書を提出し、議決を「限りなく『起訴相当』に近い」とした上で、「厳正な再捜査を行い、公開の法廷で黒白をつける道が開かれるよう強く要望する」としたのは至極もっともなことと思われます。
時々、免罪事件が起ったり、この件のように庶民の正義感覚とは、およそかけ離れた司法判断が下されるのを目にすると、果たして日本の司法制度は大丈夫なのかと思うこともなくはありません。森友・加計学園問題にしても、統計不正問題にしても国会がまともに真相を究明しようとせず、うやむやにしてきた現状を考えると、せめて司法の分野だけは民主主義の砦としての役割を果たしてほしいと思うのですが、これは“無い物ねだり”なのでしょうか。
社史・アーカイブ総合研究所 代表 小谷允志
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