社史研究への誘い

 

良い社史編集者とは何か(5)

社史・アーカイブ総合研究所研究員 宮本典子

担当した会社を1冊に表現する喜び

いろいろ大変なことを書いてきましたが、さまざまな条件をクリアして 1冊の本が完成したときの喜びは何物にも代えがたいものです。お客様がともに喜んでくださると、喜びも倍増します。

また、多くの協力者を巻き込み、コラボレーションして何かを作るわけですから、スタッフが変われば新しい世界が広がることもあります。長く続ける価値があるし、常に新しい世界を拓く可能性のある面白い仕事だと思います。良い編集者は常に現状に満足しないでいることのできる人でしょう。

最近は70年とか、100年といった長い歴史をまとめられるお客様も増えてきました。そんなときは以前に作られた社史を参考にします。生き生きと当時がよみがえり、かつ資料として充実したとてもよくできたものもあれば、いい加減なつくりのものもあります。独善的だったり、当時の代表者におもねっているのか偏りのある内容だったりするものがあります。よく読めば当時の担当者や編集者がどういう気構えでその社史を作ったのかがわかります。

ですから、未来のいつか、誰かができ上がった社史をみて、「なかなかよくできているじゃないか、担当者のフラットな視点で歴史を残そうという意図が見られるな」と思ってほしい ―頭の片隅で、そんなことまで考えて、時代の評価に耐えうる社史をつくれる編集者でありたいものです。

「社史・アーカイブ総研の挑戦」(2019.10出版文化社刊より抜粋)

 
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