アーカイブの活用

 

資料保存と活用手段の関係

2014年8月23日~25日の三日間、「第9回映画の復元と保存に関するワークショップ」に参加しました。このワークショップは、「映画の復元と保存に関するワークショップ」運営委員会が主催し、映画の復元と保存の意義、最新情報、今後の課題について理解を深めること、そして参加者の交流を通して国内外のネットワ-クを強化することを目的として開催されています。

初日・2日目が講義、3日目が実習という、とても密度の濃いワークショップです。講義の二日間では、30分から1時間程度の講義と、10分程度のライトニングトーク(短時間の発表形式)が行われました。 ライトニングトークの発表題目を見てみると、テーマの幅広さがわかります。保存や修復に関する技術的な問題、上映環境や機材確保の問題、サイレント映画を上映するための環境(ピアノ設置)の問題、と多彩です。資料の現物を保存するだけではなく、活用する手段や文化を同時に保存していかなければならないということが表れています。

講義会場となった京都文化博物館では、フィルムライブラリー事業として、映画資料の収集、保存を行っており、フィルムシアターがあります。初日に、京都文化博物館 森脇清隆氏の講義があり、そのお話では、シアター開設時に設置した映写機はすでに製造中止になったそうです。メンテナンスは継続されているそうですが、それもいつまで続くかわからない状況だということです。再生機器の問題は、私達の身近でも起きています。VHS、カセットテープ、MD、CD、DVDなど、記録媒体は残っているけれども再生機器がなかったり、壊れていたりということが、結構あるのではないでしょうか。

アーカイブをする上での資料保存と活用手段の関係について、改めて考える機会となった3日間でした。今回は触れられませんでしたが、3日目の実習では、フィルムの修復現場の見学、修復体験など、普段なかなかできない体験ができました。

社史・アーカイブ総合研究所 研究員 小清水萌木

 
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